株式会社ワン・ダイニング様

900名から選ばれし30名の熱狂的なコアファンが3ヶ月で2,000組以上の来店売上に貢献した熱狂的コアファンマーケティング『ワンバサダー』とは?

2023年7月1日

30名の熱狂的コアファンが2,000組以上の来店に貢献 株式会社ワン・ダイニング

  • 執行役員 営業本部 人財育成部長
    稲田 守弘 氏
  • 営業本部人財育成部
    コミュニケーション推進担当責任者代理
    中島 拓海 氏

焼肉食べ放題のお店として関西、関東、九州を中心に店舗を展開している、株式会社ワン・ダイニングの「ワンカルビ」。ワンカルビで行ったファンマーケティング施策が「ワンバサダー」という企画です。
900名の候補のなかから熱狂的コアファン30名を選抜し、イベントやクーポン企画などを実施。スモールスタートながら2,000組以上もの来店機会の創出に貢献し、新規顧客獲得にもつながる大きな成果となりました。
たった3ヶ月という短い期間ながら多くの成果を残した企画について、実際に企画に携わった中島様・稲田様にお話しを伺いました。

記事のポイント

  1. リピートして行える施策を探していた時に出会ったのが「ファンマーケティング」
  2. スモールスタートが可能で柔軟な対応が決め手となりRiVAへファンマーケティング施策を依頼
  3. 「ワンバサダー」の施策ではファン同士の交流やイベントの開催、専用クーポン配布企画などを3ヶ月間実施
  4. 30名の熱狂的コアファンと一緒に盛り上げた結果、3ヶ月間で2,000組以上の来店機会を創出
  5. ワンバサダーの存在によって口コミの頻度が増加し、企業との関係も密接に。新規客の獲得にもつながった

一度のインパクトよりも、長く愛されるファンマーケティング

ーーご依頼前は「ファンマーケティング」や「アンバサダーマーケティング」などをご存知でしたか?

中島様

小売業でアンバサダーマーケティングを行なった事例は聞いたことがあります。

インフルエンサーマーケティングを実施したこともあるのですが、売り上げにどうつながっているのか・施策によって何人が来店に至ったのかなどが計測できなかったんです。

それにインフルエンサーマーケティングは、彼らの影響力やインパクトを活用する施策。小売業や通販などは親和性も高く効果的に集客できそうですが、ワンカルビの場合「短期での集客施策よりも中長期にわたってのLTV(Life Time Value=顧客生涯価値)向上施策のほうが必要だ」と社内で課題感を持っていました。

アンバサダーマーケティングやファンマーケティングは、自発的に「他人に推奨したい!」という精神がありますよね。今はそれが一番人に響くし、LTV向上にもつながると感じたんです。

ボトルネックは「成果は出るの?」

ーースタートはスムーズだったのでしょうか?

中島様

正直なところ、前例や他社事例がなかったため社内で通すのは苦労しました(笑)。提案は何度かしたのですが、過去の経験もあって導入には慎重でした。

会社としては、SNSはまだ“得体のしれないもの”という認識がある。だから「フォロワーが増えるからどうなの?」「それが業績にどう反映されているの?」と思われてしまう。要は“成果が出るか出ないか”。

中島様

ファンマーケティングをはじめる一番の決め手は、小規模から挑戦できることでした。

打ち上げ花火のようなインフルエンサーマーケティングは、効果が出なければコスパが悪い。でもファンマーケティングはこちらから寄り添うことでお客様の熱量を高めていく施策。ブランドとファンの信頼関係を築くことで、中長期的な相乗効果を見込める施策として取り組めそうだと思ったんです。なのでうまくいく未来も見えていました。

決め手は「スモールスタート」と「伴走」

ーーなぜRiVAと一緒にファンマーケティングに取り組もうと思ったのですか?

中島様

社内のSNSに対する認識もあって、最初は企画も予算も小規模から挑戦できることが大事でした。しかし他社にも相談した際は、提案していただいた規模が大きく、予算も大きくなりそうで……。

それに対して、スモールスタートできそうなのがRiVAだったんです。

当初RiVAが提案してくれたプランは、想定していたものより規模が大きいものでした。ただ「まずはスモールスタートで、成功体験を積み重ねてからどんどん広げていきたい」というのがワン・ダイニングとしての意向。それに対してRiVAのみなさんはすごく柔軟に対応してくれて、ミニマムスタートのプランを練り直してしてくれたんです。また提案が決まるまで約1年かかったにも関わらず、常に伴走してくれて……。そんな経緯があったので、ぜひRiVAと一緒にやりたいなと思いました。

中島様

予算や規模の面でもそうですが、良い意味で忖度がなかったのも良かったです。良い提案をしてくれたり、こちらの考えを汲み取ってくれたりする会社はたくさんいらっしゃいました。ですがRiVAに相談すると、フラットに良い・悪いを判断してくれます。施策の見直しや、効果が出る・出ないを再検討するきっかけとなりました。他社の場合は悪い点を指摘してくれることはありませんでした(笑)。

続きを見る:熱狂的なコアファンとつながり、一緒に盛り上げる「ワンバサダー」企画

熱狂的なコアファンとつながり、一緒に盛り上げる「ワンバサダー」企画

RiVAとの協力体制で始動したのが、ファンプログラム「ワンバサダー」。ファンのなかでも特に熱狂的でコアなファンに「アンバサダー」を担っていただき、一緒にワンカルビを盛り上げていく企画です。

ーー最初からファンプログラム施策の実施を想定していたのですか?

中島様

以前からSNS運用には力を入れていて、ツイートをするたびにリプライをくださるフォロワーもいるほどファンと深い交流を続けていました。公式とフォロワーという関係というよりは、知り合いや友人のような感覚がある方が多かった。そんな素地があったからこそ、RiVAから「熱量の高いファンと共にワンカルビを盛り上げていくファンプログラム施策が良いのでは」という提案がありました。企画案はこちらでも考え、RiVAからフィードバックをもらったりブラッシュアップしたりして進めました。その結果生まれたのが"ワンバサダー”という企画です。

900名からわずか30名!選ばれし「ワンバサダー」と熱狂を加速させる

中島様

「ワンバサダー」とは、ワンカルビのファンのなかでも特に熱狂的だと感じたコアファン30名を厳選。その方々をワンカルビのアンバサダー=ワンバサダーに任命し、共にSNSを中心に宣伝活動を行っていただく企画です。

専用のLINEオープンチャットを開設し、ワンバサダー同士の交流や店舗に対する要望や提案を促進。ほかにも肉のカットショーイベントを実施して、お店のこだわりを直接感じてもらえる機会も作りました。

さらにワンバサダーが配布できる「特別クーポン」を用意し、ワンバサダーの方々からSNSで拡散していただきました。通常の「1の日クーポン」は有効期限が1週間であるのに対し、ワンバサダークーポンは有効期限3ヶ月間。その上、期間内なら何回来店しても1,000円オフという特典を設定しました。この特典はワンバサダーの方々への活動に対する感謝の想いと、ほかの方々へ推奨するモチベーションにつながることを考えて、社長が特別に許可してくれたものです。また二次配布を禁止したため、企画の効果を測ることができました。

ーーワンバサダーの選定はどのように行いましたか?

中島様

募集ページを作成して、SNSやLINE公式アカウントなどで公募をしました。最終的に集まったのは約900名で、なかにはワンカルビのアカウント開設時からフォローしてくださっていた方もいたんです。

最終選考の段階で「熱意は大事だが、ある程度発信力も必要ではないか?」という話が出ました。そこでフォロワーが1万人以上いるけれど、ワンカルビに関してツイートやリプライをそこまでしていないという人も候補に挙げていたんです。でもRiVAから「そうした選び方は避けた方が良い」と言われました。公募企画なので、ネームバリューが欲しいだけの方も一部いらっしゃる。そういう方がワンバサダーになっても、期待する効果が見込めない可能性が高いと。最終的にはフォロワー数よりも”熱意がどれだけあるか”で選考を行いました。

ーーアンバサダーを巻き込んだイベントもスタート時から考えていたのでしょうか。

中島様

イベントは、スタート段階からRiVAと一緒に企画していました。

3ヶ月という任期中、モチベーション高く継続的かつ自発的に発信をしてもらうのは難しいもの。ワンバサダーの方々の熱狂が加速する機会を設けた方が良いとのアドバイスを受け、イベントを行うことにしました。それが店舗での肉カットショーです。

ワンカルビのこだわりでもあり強みでもあるのが、各店舗でお肉を手切りすることで鮮度の良い肉を提供できること。ですが、せっかくの店内の手切りがお客様に浸透していませんでした。そこで「店内で手切りしている」というこだわりをワンバサダーに発信してもらえると良いのではないか?と考えました。

中島様

大阪にあるりんくうタウン店にて「肉カットショー」のイベントを開催。ワンバサダーとそのご友人やご家族を招き、ワンカルビのなかでも肉カットの高い技術とこだわりを持つ店長が肉を切りながら解説しました。切ったお肉は、もちろんみなさんに食べていただきました!イベントによってワンバサダー同士の絆が深まり、ワンバサダーのコミュニティ全体がより活性化。LINEオープンチャットやSNSでの自発的な投稿頻度が上がり、その投稿に対してワンバサダー同士がコメントし合う状況も生まれ、まさに良いこと尽くしでした。

ーー施策を進めるなかで考案した企画もあるのでしょうか。

中島様

途中で考案したのが、新メニューの告知をワンバサダーに委ねる企画です。

新メニューの情報をワンバサダーにお渡しして「今回のメニューは公式から告知はしません!」と宣言。公式アカウントは、ワンバサダーの宣伝をリツイートするだけにしました。簡単にいうと、公式アカウントでの発信していた情報をワンバサダーに一任したんです。

これによってワンバサダーのみなさんに「自分はワンカルビと密接な関係にあるんだ!」と感じていただけたと思います。普段SNS上でワンカルビの情報をキャッチしてくれている方にとっても「ワンカルビの公式を見るより、ワンバサダーのツイートを見る方が早いぞ?」となれば、そちらを見ますよね。

この企画は非常に喜ばれました。「こんなことまでやらしてもらえるんだ!」と。

本当に発信したい人だけが集まり、その熱量を原動力に熱狂を伝播させる

ーーワンバサダーの方々との関係性は変わりましたか?

中島様

今回のプログラムを通じて、目に見えて結びつきが強くなりました。

ワンバサダーは、アカウント開設当時からファンでいてくれた方も多かったんです。最初の発信は完全にお任せしていたなか、自主的にワンカルビの紹介ツイートをしてくれたり、漫画を書いて発信してくれる人がいたり、VTuberの方がYouTubeで動画配信してくれたり。さまざまな方法で発信してくれたのが嬉しかったですね。

中島様

イベントでお会いした方々とはその後DMをもらえるようになったり、SNS上でより親密なコミュニケーションを取れるようになったりもしました。また私たちとの関係だけではなく、ワンバサダー同士でリプライを送り合ったり、ワンバサダーのなかで小さなコミュニティが生まれていたり……今までよりもお互いの結びつきが強まったなと感じます。

こういった結果は、これまで発信したかったのに機会がなかった人が「ワンバサダー」をきっかけに発信できるようになったからかもしれません。もとから公式アカウントと知り合いのような関係だった方がワンバサダーになったことで、一生懸命一緒に盛り上げてくれる光景を目の当たりにできました。”想い(=ワンカルビへの愛情)”と”立場(=ワンバサダーという役目)”の両方が揃ったことで、最高のパフォーマンスを発揮してくれたんです。

熱狂の傾聴によるリアルなVoC収集でスピーディーなメニュー表記変更が実現

ーーワンバサダーの発信がきっかけで変化したこともあるそうですね。

中島様

そうなんです。ワンバサダー同志の交流ができるように「LINEオープンチャット」を利用したのですが、意見交換がかなり活発に行われていました。

ある時LINEオープンチャットのなかで発信されたのが、とあるメニュー表記についてです。「北海道産かぼちゃとクリームチーズのディップ〜バターサブレ添え〜」というメニューなのですが、はちみつを使ったメニューであることを大きく表記していませんでした。それを見た複数のワンバサダー、特に女性の方から「赤ちゃんでも食べられそうなメニューなのに、はちみつが使われているのが少し分かりづらいのでは?」とアドバイスをいただきました。

表記上は問題なかったのですが、ユーザー目線でのご意見で「確かに危ない」と気がつきました。とても大事な視点でしたので翌週にはメニューの表記を変更。わかりやすくして危険性を減らすことができました。

ユーザー目線での声(Voice of Customer)をリアルタイムに収集できたからこそ、スピーディーな対応が実現できたと思います。

続きを見る:内に秘めた想いの発信は売上にもつながった!

内に秘めた想いの発信は売上にもつながった!

ーーここからは RiVAと行ったワンバサダー施策の成果と、今後の展開についてお聞きします。社内では施策を行う前と後で何か変化はありましたか?

中島様

ワンバサダー施策を実施する以前は、SNSを通じて熱意あるファンがいることは知っていたものの、ファンの熱量をどのように購買(=来店)に転換していくかは模索している段階でした。

以前のインフルエンサーマーケティングでは、どのように売上につながっているかどうかが見えてこなくて……。何人が施策による来店だったのかが計測できていなかったんです。

一方RiVAと実施したワンバサダー施策は、売上にも社内にも大きなインパクトを与えてくれました。

わずか30名のワンバサダーの熱狂が持続し、3ヶ月間で2,000組以上の来店に貢献

ーーまずは売上や数字に関しての成果について教えてください。

中島様

結果からいうと、約3ヶ月のワンバサダー活動期間で大きな売上アップが実現しました。メインで行った「ワンバサダー特別クーポン」の拡散によって多くのお客様が来店され、さらに新規のお客様の来店にもつながったんです。

今回のワンバサダークーポンの費用対効果は、ワンカルビとしてメインで配布している1の日クーポンを大きく上回る結果になりました。わずか30名のワンバサダー・たった3ヶ月という短い期間にも関わらず、2,000組以上もの来店につながったんです。これは単純に約1店舗分の1ヶ月の売上をワンバサダーの方々が生み出したことになります。インフルエンサー施策とは異なり金銭的な報酬を支払っているわけではないので、費用対効果が非常に高かったと言えます。

中島様

費用対効果以外にも、実施したからこそ得られたとても貴重な結果もありました。それは今回のクーポンについて、Twitter上で一番インプレッション数(=リーチ数)が高かったワンバサダーの方は、当時フォロワー数二桁の方だったこと。多くのフォロワーがいるインフルエンサー的な方ではなかったんです。というのもこのワンバサダーの方は積極的に「ワンカルビ」のワード検索を行っていたそう。そこで見つけた「1の日のクーポンが使えなかった!」というツイートに対して、リプライでワンバサダークーポンを紹介してくださったんです。ほかにもワンカルビに行ってみたいという方へ積極的にクーポンを紹介するなど、地道な努力を重ねてくださりました。その結果たくさんの方々に拡散され、合計インプレッション数が一番高いという結果となりました。

“ワンバサダー”のような存在がインフルエンサーである必要はなく、むしろ心からワンカルビを愛してくれる熱量の高いファンにお願いするほうが結果が得られるのだと感じました。本当にワンカルビを好きでいてくれたからこそ、能動的かつ積極的にクーポンを配布してくれた。そんな熱狂的なコアファンを発掘ができたことが、今回の成功につながったんです。

大切なのは、企業がともにファンの熱量を高め、科学的に再現していくこと

ーー中島様がファンの熱量を高めるために具体的に意識してたことは何でしょうか?

中島様

ファンマーケティングは、こちらから寄り添うことでお客様の熱量を高めていくのが重要だと考えています。今回の施策でも一人ひとりのお客様と向き合って、確実にファンになっていただくことを大事にしてきました。数を闇雲に増やすよりも、質を高められる価値の提供を意識していましたね。

その結果、熱烈なファンが活性化。熱狂的コアファンには「ワンバサダー」という立場を提供することで、口コミ投稿の頻度が増加したんです。ワンバサダー同士がTwitterでつながることで、ほかのお客様のTwitterの投稿頻度も増えていきました。

また先にもお話ししましたが、宣伝など一部の業務をお願いし、企業と密接な関係を築けている嬉しさも提供しました。企業から後押しすることで、積極的に勧めてくれるようになるんですよね。リアルの友達にも「ワンバサダーになったから、ワンカルビに行こう!」と、誘いやすくなったとお聞きしました。このように瞬間的な売上向上を狙うのではなく、中長期的な売上につながるように科学的に分析。それをまた次のフェーズでも再現していくことで、継続的にファンの熱量を高めていけると考えています。

これからはワン・ダイニング全体で盛り上げる!

ーー今後の展開などはありますか?

中島様

ワンバサダー1期終了後に成果を報告し、社長とも相談した結果「第2期もやりましょう」という話になりました。第1期は売上のインパクトを与えただけではなく、社内で“ワンバサダー”という言葉が浸透したほどファンマーケティングへの理解が進んだんです。次回からはワン・ダイニング全体でやろうと計画中です!

もともとRiVAはイベントにも強い会社と聞いているので、第2期以降はそのノウハウを活かせるような施策も行っていきたいですね。

ーーこれからファンマーケティングの導入を考えている企業に、何かアドバイスはありますか?

稲田様

SNSのお客様一人ひとり、“個人”を見ることが大事です。

ワンカルビでは日常的にSNS運用を行い、エンゲージメントの高さを把握できていたからこそ熱量も測定できました。採用者の6〜7割の方はTwitterのプロフィールまで把握しています。

エンゲージメントを高めるために、かなり細やかな対応も行います。たとえば店舗のレビューをしてくれた人に「ありがとうございました」だけではなく、もう一歩進んだお礼を言うことを心がけていました。お子様の誕生日で利用されたのであれば、そこに言及したお礼をお伝えします。その方だけのことにコメントすることで、一人ひとりのロイヤルティを高め、ブランド価値やLTV向上にもつながります。

ーーありがとうございました!

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